AIライブラリ
デジタル主権の二重構造
欧州の脱パランティアとアメリカン・ビッグテックの鎖
金景珍(キム・ギョンジン), 弁護士
欧州の情報機関と国防省が米パランティアの分析ツールを排除し始めた2026年の記録です。フランス国内治安総局とドイツ連邦憲法擁護庁、オランダ国防省の置き換え決定、米国の輸出規制が同盟国の人工知能アクセスをわずか3日で遮断した事件、CLOUD ActとFISA 702条がもたらした域外管轄の実態を扱っています。欧州連合のクラウド・AI開発法(CADA)が定めた4段階の主権保証レベルと主権理由による契約解除権、ユーロスタック構想と3,000億ユーロの投資障壁に至るまで、全5章15節と結論2節で整理しました。
[AI書房] 序文
PALANTIR:戦争、監視、人工知能
序文
金京鎮
2022年、私は映像を見て立ち止まりました。
ウクライナ戦線でロシアの戦車中隊が壊滅する映像を偶然目にしました。世界2位の軍事大国の機甲部隊が。どうしてこんなことが可能なのか。関連資料を探して読み進めていた私は、一つの単語で立ち止まりました。パランティア。初めて見かける名前でした。
検索を始めました。シリコンバレーのデータ分析企業。CIAの投資を受けて設立。ビン・ラーディン追跡に貢献したという風聞。ウクライナ軍にソフトウェアを無償提供。アレックス・カープという哲学博士が率いる企業。時価総額数百兆ウォン。
不思議でした。この程度の規模の企業を、この程度の影響力を持つ企業を、私はなぜ知らなかったのでしょうか。
私たちが気付かぬうちに、世界の権力構造が変わっていました。戦車と戦闘機ではなく、アルゴリズムとデータが戦争をする時代。軍服を着た将軍ではなく、セーターを着たエンジニアが戦場を支配する時代。その中心にパランティアがありました。
掘り下げ始めました。資料を集め、記事を読み、報告書を分析しました。知れば知るほど、この企業の影は長かったです。米国国防総省からイギリスNHSまで。対テロ作戦からコロナワクチン配布まで。ウォールストリートの詐欺検出から移民追跡まで。
そして気付きました。これは一つの企業の物語ではありません。データが権力となる時代、その権力を誰が握り、誰が監視するのかという物語です。効率と安全保障という名の下で、私たちが何を譲り渡しているのかという物語です。
本書は、その問いに対する私の答えを探していく旅です。










